「令和4年度 東京都における学校給食の実態」というPDFが東京都教育委員会から発表されています。
これを見ると、だいたい8割ぐらいはリサイクルされているようです(第15表 厨芥・残菜の処理方法)。ちなみに杉並区は全量リサイクル、という数字になっています。
学校給食残渣の堆肥化については、大まかにわけて、大型の処理機を導入しているもの、企業に委託しているもの、地元産の基材でコンポスト化しているものに分かれます。それなりの量が毎日出るわけですから、維持するための労力も考慮しなくてなならないですよね。
まずは興味深いのが、この世田谷区のPDF。発行年が記載されていませんが、かなり古そうです。自校給食をしている学校にはバイオ式の生ごみ処理機を設置済み、と書かれています。
処理機を経た生ごみ堆肥をそのまま使う方法と、完熟させる方法(手作業)をイラスト入りで紹介。完熟させる手法は少し古いもののようですが、完熟させた方が質が良くなる、という視点がおりこまれているのがポイントです。
そして成分分析の結果まで!
平成11年に堆肥化に取り組む学校が増えてきたので「学校給食残さい堆肥化推進協議会」が立ち上がったとありますので、かなり前からの活動のようです。
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/004/015/005/d00007648_d/fil/shimon2-shiryo5.pdf
世田谷区 令和4年の資料では給食残さは飼料化リサイクルを推進しているとのこと。
www.city.setagaya.lg.jp
世田谷区は給食残さの堆肥化はやめちゃったのでしょうか?と思っていたら、なんと東京農業大学のリサイクル研究センターなるものに搬入していた時期があったようです。
産官学共同プロジェクトとして、生ごみを堆肥化せずに直接ペレット状の肥料に加工。既存の肥料と代替可能とのこと。
その研究の成果はこちらのリンク先で紹介されていました。2021年、ついに販売するための肥料登録が認められたようです。研究開発経緯を見ると、世田谷区も川崎市も途中で給食残さの搬入を中止。完成までには紆余曲折あったようです。肥料としての世間的な評価はこれから、といったところでしょう。
こちらは渋谷区。太陽光パネル電源を使った生ごみ処理機「スマートコンポスト」の実証実験を開始(2022年)。
宇都宮市 平成25年
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokusan/recycle/h25_03/pdf/doc7.pdf
仙台市
秦野市 平成11年には全小学校に生ごみ処理機を設置
平成28年度から令和3年度までの堆肥化の実績を報告
環境省2013年PDF 学校給食から発生する食品廃棄物等のリサイクルの取組事例について
仙台、札幌、千葉市の事例紹介
https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y0314-02/ref01_7_2.pdf
新居浜市 令和3年度議会報告
これ面白いですね。処理機の老朽化により故障が直せなくなり使われなくなったという指摘。。そして新規購入にあたっては「場所や費用対効果など、検討課題を整理してまいります。」という回答がされています。
機械化・・便利ですし、人間よりパワフルでずっと働いてくれそうなイメージですが、やはり老いるものなのです。
www.city.niihama.lg.jp
こちらもちょっと変わったプレスリリース。地域貢献の一環として小中学校に生ごみ処理機を寄贈。太っ腹ですね!
こちらはアナログ方式。地元の資材を使ってキエーロ・タイプのコンポストを作成、利用。環境教育目的のようです。
こちらは地元の環境企業さんとタッグを組んだ例。
note.com
そもそも論ですが。2015年なのでちょっと古いデータ。
学校給食から発生する食品ロスのおよそ1/3は食べ残し。なので、まず食べ残しを減らそう!という動きも当然あります。むしろ環境省はこっちに力を入れているようです。
環境省による給食食べ残し削減対策マニュアル 平成30年。
16ページめの、削減ポテンシャルを算出してみよう!のコーナーがとても良いと思いました。目標値が計算できて、こんなに効果があるなら取り組んでみよう、という気持ちが生まれます。
https://www.env.go.jp/recycle/R1manyuaru.pdf
令和元年の報告書(食べきりチャレンジ)
https://www.env.go.jp/recycle/R1kyuusyoku.pdf
なかなか大変な取り組みだなぁと思いますが、まず「生ごみを減らす」ことが一番大事ですものね。